ジャンクMSXが動きました

前回に引き続き、MSXの修理です。前回の記事はこちら。

まずは起動確認をしたいので電源周りをいじります。アダプタが付属していなかったので、別のアダプタから給電するようにします。改造にあたってはにがさんのHPを参考にしました。

FS-A1のアダプタは3極あり、AC18V、DC9Vの2系統あります。ACを供給するアダプタなんてかなり珍しいですね。AC18Vは±12Vの生成に使われているそうです。±12VはハイブリッドICとカットリッジスロットに使われているようで、この±12Vを生成しないと映像と音が出ないそうです。

まずは電源部の大きなヒートシンクを取り外してみました。

よくよく見てみると、電解コンデンサが液漏れしているような跡がありました。接着剤?この容量のものは手持ちになかったので後で交換しようと思います。

junker さんによるFS-A1の回路図を見ると、DC9Vからレギュレータとトランジスタを使って5Vを生成しているようです。AC18Vも78L12,79L12の3端子レギュレータで±12Vを生成しています。この部分を置き換えます。

回路図は現在は以下から参照できます。回路図を公開してくださって感謝です。

電源ですが、5Vか9Vのアダプタを使おうと思っています。5Vのアダプタならそのまま+5Vへ接続して、9Vのアダプタなら既存の5V生成回路を使おうと思います。

で問題の±12Vは、DC-DCコンバータを使って生成します。にがさんのHPでは100均のシガーソケット用のUSB電源を改造して使われていますが、試しに1つ購入してみたところ、回路もチップも変わっていて使えなさそうでした・・

そこで、Amazonで±12Vを生成するDCDCを買ってみました。2週間位前は799円だったのですが、今は少し値上がりしていて998円でした。

出力電流が少なくなりますが、以下のほうが安いです。

秋月電子にもDC-DCコンバータが売られていました。

にがさんのHPによると、MAU108ではカートリッジスロットに電源を供給する場合は足りないそうです。となると、上の安い方のモジュールも出力不足ですね。ただ、ハイブリッドICに電源を供給して映像と音声を出すくらいなら問題なさそうです。

届いたモジュールがこちら。

DCDCのチップにはXLSMI社のXL6007が使われているようです。(細かいことはわかりませんが)

早速12Vが出ているのか、安定化電源を繋げて実験してみました。

無負荷状態ですが、5Vから+12V、-12Vともに生成できているようです。

ちなみに安定化電源は ALIENTEK の DP100 です。エレキ系のインフルエンサーのイチケンさんも紹介していたもので、小型軽量な安定化電源で重宝しています。

ELOISA DP100 DC 電源調整可能なデジタル DC 電源ミニポータブルラボソース電源電圧スイッチ 30V 5A 簡単インストール
ELOISA

私はAliExpressのALIENTEK公式ストアから購入しました。怪しいところもたくさんあるAliExpressですが、公式ストアであれば安心ですし、日本で買うより安かったりします。いまセールをやってて2024/3/28まで7,743円で買える!お買い得です!

みんな大好き秋月電子でも販売されています。こちらは8,800円。

電源をつなげる先ですが、下記回路図の左側にある3端子レギュレータのIC16,17を取り外し、それぞれのOUT端子に±12Vを接続します。IC16,17ではOUTのピンが左右逆なので注意が必要です。

取り外すICはこちら。O,G,I のようにピンの説明までシルクで書かれているのでとてもわかりやすいです。

こんな感じで電源スイッチの先からDC-DCの電源を取り、±12VをOUT端子に仮接続してみました。

恐る恐る9Vを入れてみます。0.7A程度で安定しました。ショートはしていないようです。こういうとき電流を制限できる安定化電源は安心ですね。しばらく電源を入れてもいても異常な発熱、発煙や異臭もありませんでした。

テレビが遠くてつなげるのが面倒なので、USBのキャプチャーデバイスを使ってPCの画面に写してみました。

映りました!!! ああ、懐かしいこの画面。

最初は画像が乱れていたのですが、RCA端子をグリグリしたらきれいに映るようになりました。端子が腐蝕していて接触が悪かっただけのようです。

USBキャプチャはAmazonで最安値のやつを買いました。今後S端子改造もやってみたいので、S端子付きのキャプチャーを買いました。1000円以下で買えるなんて安いですね。

ちなみに、上記キャプチャーデバイスは、USBカメラと同じように認識されるのでLinuxでも問題なく使用することができました。

手持ちの捨てていなかったMSXのゲームカートリッジを動かしてみましたが、表示も音楽も問題なく動作しました。ジャンクとして購入したのですが、全然ジャンクじゃなかったようです。ラッキーですね。

 

続いて5V電源で試してみます。

電源から5Vを生成している Q3とIC18, R33を取り除きます。そして、Q3のコレクタとエミッタをショートさせます。これでアダプタからのDC入力がそのまま5Vに繋がります。

5Vを印加してみました。

5Vでも約0.7Aでほぼ変わらない電流値となりました。消費電力は 5V×0.7A = 3.5W。9Vの時は 9V×0.7A = 6.3W でした。9Vの時は約半分の電力が熱に変換されていたようです。

安定化電源ではなく5Vのアダプタを使ってみました。実運用で使おうと思っている電源です。秋月電子で購入しました。

今回の回路構成では内部の 5V にスイッチング電源の 5V が直接入るので、電源ノイズの影響をモロに受けることになります。画像や音にノイズが乗るようなら 9V にしようと思っていましたが、電源の品質が良かったのか、それほど気になりませんでした。

いったん5Vで運用してみようと思います。いつでも戻せるように取り外したレギュレータ等は捨てずに取っておきます。

DC-DCはちょっと高さがあるので、キーボードとぶつからない下の位置にクッション付きの両面テープで固定しました。念の為、メインボードとDCDCの両方をカプトンテープで絶縁しています。

また、電源コネクタを取り外し、パネル取り付け用のDCジャックをつけてみました。

ケースの穴に対して若干小さいのですが、なんとか固定はできそうでした。DCジャックはパーツボックスに入っていたものですが、多分秋月電子の以下のものだと思います。

この接続方法だと、ハンダを外さないとケースと基板を取り外せないのですが、まぁ、いまいまはこのままで運用してみようと思います。

 

これでメインボードの動作確認と、5Vアダプタ向けの修正が完了しました。続きは次のエントリで

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