MSXのROMカセットを分解してみた

似非SCCや似非RAMディスクを作ったりするのには既存のROMカートリッジを改造する必要があります。

そこで元々持っていたカートリッジと今回ヤフオクで購入したカートリッジを分解してみました。

 

激突ペナントレース

まずは25年くらい前? に似非SCCを作りたくて買ったまま死蔵していた「激突ペナントレース」です。Konami製でSCC音源も搭載されています。

開けた後の爪の位置は以下の通りです。下側のカードエッジ側からこじあけました。

開け方は以下のXの投稿を参考にしました。複数の投稿で多くの写真を使って丁寧に説明されています。

開けた後に知ったのですがMSX界で有名なHRA!さんも開け方を公開してくださっていました。

シールの角を少しはがすと爪にアクセスできるようです。シールがキレイに剥がせそうならこちらのほうが良いかも。

基板の様子はこちら。

激ペナは1988年発売とのことですが、約35年前のものは思えないほど綺麗でした。

上側の小さいチップが1Mbit(128KB) ROM。下の大きいチップがSCC音源内蔵のメガロムコントローラーです。左側にあるラダー抵抗のようなものがDA変換器だそうです。

独自の音源チップを作って搭載して 6,380円ですからね。当時とは物価が違うとは思いますがKonamiの本気度が伺えます。今じゃ独自チップなんて高くてなかなか作れるものではありません。

ウラ面を見るとメガロムコントローラからDAコンバータに向けての配線が横断しています。ハードは素人ですが、DAコンバータを逆サイドに配置すればもっと配線が楽だったのでは?と思ってしまいました。なにか事情があるのかも知れないです。

麻雀悟空

続いて麻雀悟空です。似非RAMDisk用のメガロムコントローラー目当てで購入しました。開けるにはねじを外す必要があります。シールを剥がすと以下の位置にネジがありました。

本当はラベルをキレイに剥がしたかったのですが、経年劣化で表面がパリパリになっておりキレイに剥がすのは諦めました。

開けたところが以下です。

バッテリーバックアップのSRAMが乗っているようです。ボタン電池の左側のICがSRAM (SONY CXK5816PS-12)です。その下のRICHOのチップが1Mbit ROM、左上のアスキーロゴとメガロムマークが書かれているのがメガロムコントローラです。

アスキー製のメガロムコントローラは2.54mmピッチのDIPではなく、SDIPのようです。

バッテリバックアップ用のボタン電池の電圧を測ってみました。そしたら・・

え?うそ?まだ3V出てんの? SRAMがめちゃくちゃ省電力なんですかね。1988年リリースのゲームなので約36年前の電池がまだ残ってるんですね!すごい!

MSX BASEBALL

最後はMSX BASEBALLです。松下電器製で1984年発売のものだそうです。初代MSXの発売開始の翌年に発売された40年前のソフトです。ヤフオクで買いました。これはメガロムではなく普通のROMです。

カートリッジはネジ止めだけなので簡単に開けることができました。

このカートリッジはカードエッジ部分が保護されています。バネ式になっていて押し込むとカードエッジが露出するようになっています。面白いですね。

基板の写真はこちら

ROMが1つだけのシンプルな基板になっていました。MN23128なので型番とシルクから128Kbit(16KB)のROMのようです。ROMのパターンが2つあり、ジャンパー代わりの抵抗でROM容量を切り替えられるようです。

ウラ面はヤニ?フラックス?がべっとりと塗られていました。FS-A1の中身もそうでしたが、40年前はこれが当たり前だったのかもしれません。カードエッジ部分は金メッキではなくハンダメッキ加工なのも時代を感じます。

そのカードエッジ部分ですが、使われていないピンにもパッドが存在しているので、ROMを取り外したあとに実験用基板として信号線を引き出すのに便利そうです。

ROMの取り外し

以上の3基板からROMを取り外してみました。3枚ともスルーホール基板なので取り外しが結構大変でしたがなんとか外すことができました。

まずは激突ペナントレースです。

最初、ハンダ吸い取り線で頑張ったのですが全然取れませんでした。そこで秘密兵器、工具箱の奥底に眠っていたハンダ吸い取り器を掘り出してきました。

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以前使った時は全然吸い取れなくて買って損したと思っていたのですが、改めて使ってみると、これなしではROMの取り外しはやりたくないと思えるほど楽に取れました。使い方が悪かっただけのようです。

3つROMを取り外してわかった私なりのコツを忘れないように書いておきます。

  • 中途半端にハンダが残っている場合は一度ハンダを盛ったほうが吸い取りやすい(吸い取り器の場合)
  • 吸い取り器のノズルと基板の隙間をなるべく無くすように押し当てて吸い取る
  • チップ面までハンダが盛り上がっている場合はチップ面からハンダ吸い取り線で吸い取っておく
  • スルーホールとピンが剥がれているかはピンを優しく揺らして確認する
  • 十分ハンダを取り除いてもピンが揺れない場合は、コテで温めながらピンセットでピンを穴の中心に持っていく
  • 動かないピンが1つだけなら、そのピンをコテを温めながらROMを少しずつ引き抜いてもOK

ピンセットでピンを揺らすことでパターンとピンが離れているかが分かります。ピンが動かない状態でROMを抜こうとするとパターンを破損する恐れがあるのでやめたほうがよいです。

ほとんどハンダが吸い取れていてもピンが動かないような場合もあります。チップ側を見てもハンダが取り除けているようであれば、わずかなハンダでくっついている状態です。ピンセットでピンをつまみながらコテで温め、ピンがスルーホールから離れるように穴の中心までピンを動かし、その状態でコテを離して冷ますと良いようです。

GNDなど熱が逃げてしまうピンは、吸い取り器でも中まで吸い取りきれないことがあります。最後の1ピンであれば、温めながらゆっくりICを引き抜いても大丈夫です。

引き抜き時には以下のようなICリムーバがあると便利です。

慣れてくると、だんだん作業が早くなってきました。

麻雀悟空も

BASEBALLも取り外すことができました。

次回は取り外したROMを読み出してみたいと思います。

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