先日のエントリでFS-A1用の拡張メモリ基板を作製しました。前回のエントリはこちら
今回は基板の組み立てと本体の改造を行います。
基板の組み立て
基板の組み立ては比較的簡単です。SOPパッケージなので素人でもそれほどはんだ付けは難しくありません。SRAMとソケット、ピンヘッダをはんだ付けし、FS-A1にもともと載っていたZ80互換CPUを載せてみました。カッコいいですね。
下の基板と接続するようのピンヘッダは秋月で買った丸ピンIC用連結ソケットを使いました。細ピンヘッダだとかなり安価なのですが、足が多いため脱着に結構な力が必要です。丸ピンIC用連結ソケットだと高価で足が曲がりやすいものの、脱着はやりやすいです。
FS-A1本体の改造
本体側の改造は3つ。
- Z80、DRAMを取り外し、Z80をソケット化する
- MSX-SYSTEM II (S1985)からマッパアドレスとスロット信号を取り出す
- キーボード信号のX5とリセットICをダイオードを介して接続する
まずは簡単な Z80 をソケット化を行います。
DRAM(IC10, 11), と Z80(IC12) の3つを取り外します。両面基板じゃないのでハンダ吸い取り線で簡単に取り外せます。Z80の跡地には40Pinのソケットをはんだ付けしておきます。
つづいて、こちらは難度が高めの改造の信号の取り出しです。
基板の後側にあるS1985から6本の線を取り出します。マッパーアドレスのMA14〜18と、Slot#3を選択した時にLowになる信号です。Slot#3にRAMを拡張します。にがさんの方法を踏襲しています。
S1985はピンの間隔が0.65mmピッチとかなり細かいので、結構はんだ付けの難易度は高いです。ここがこの改造の最も難しいところです。
すぐブリッジしてしまうので、しっかり線材にハンダメッキしておき、そのメッキしたハンダのみで付ける感じでやるとうまく行きました。
私は扱いが容易なポリウレタン線で配線しました。被覆が薄く、直径が小さいため、写真右側のGNDなどの穴から簡単に反対側に引き出すことが可能です。
反対側まで引き出したポリウレタン線を基板を経由してピンヘッダに変換し、拡張メモリボードまで配線します。
とりあえず動作確認のために実験用の線材で配線しましたが、将来はリボンケーブルとかを使って配線したいところです。ポリウレタン線ももう少しキレイに留めたいですね。
最後にリセットICとX5の接続です。
S1985の近くに、IR4とシルクのある集合抵抗と、IC19とシルクのあるリセットICのピンがあります。ここを適当な小信号用ダイオードで接続します。向きはIR4からIC19に電流が流れる方向です。このダイオードにより、リセットICがリセットをアサートすると、S1985のX5ピンがLowに落ちるようになります。
リセット時にX5ピンをLowに保つと、Pin3がMA18として動作するようになり、512kBのメモリマッパーが扱えるようになるようです。
動作確認
配線を十分確認した上で、ドキドキしながら電源を投入します・・・
すると・・
おおお!MSX起動ロゴが表示された!
起動ロゴはRAMチェックが終わったあとに表示されるので、ひとまず起動画面が出たということは、最低限のRAMアクセスは成功しているということになります。
ちなみに、MSX2+やMSX turboRでは、この画面に搭載RAMが表示されるので、この時点でRAM容量が増えているかが確認できますが、MSX2ではVRAM容量しか表示されません。
つづいて、似非RAMディスクを使ってNextor DOSを起動させてみます・・
DOS2モードでNextor DOSが起動しました!
さらに、藤本さん作の memtest.com でメモリテストを行ったところ、Segment 00〜1F (32×16kB=512kB)のチェックにパスしました! (memtest.com は、にがさんのFS-A1FXの改造2のページ内にダウンロードリンクがあります)
大体はすんなり動いてくれずに色々トラブルがあるものですが、今回は一発で動いてくれました。
これでFS-A1も512kBの(当時にしては)大容量のメモリを搭載し、DOS2が動作するようになりました。