不動産投資セミナーを受けてみました

このブログでもちょいちょい投資やお金の勉強に関するエントリを書いていますが、たまに本屋に行っては勉強になりそうな投資関係の本を探しています。そこで必ずあるのが不動産投資の本です。

気にはなっていたのですが、基本的に不動産は高額なため借金前提なことが多く、借金して資産運用とか怖いので避けていました。最近は不動産投資詐欺とかも聞くので別の意味で怖いというのもありました。

ただ、最近は結構有名なデベロッパーも不動産投資の広告を出していたり、セミナーはリモートで参加可能なので契約するまで軟禁される(笑)といった危険もないということもあり、十分に警戒した上で、どんなものか話を聞くだけ聞いてみることにしました。

結論から言うと、不動産投資・・というよりは主催者の会社の投資商品は私には合わなかったので、セミナー後の個別相談はお断りしましたが、勉強になったことがあるのでメモしておこうと思います。

セミナーの内容

セミナーの内容を全部を書くとまずそうなので、勉強になったり良くも悪くも判断材料にした部分を抜き出して記載します。

基本的にはセミナーの内容を書きますが、個人的な主観を書くときはで分けて記載します。

セミナーの名前は一般的な不動産投資を説明してくれそうな題名でしたが、無料セミナーだったので当然ながら自社の投資商品の紹介でした。まぁ、このくらいは想定内です。

A社のビジネスモデル

その会社の不動産投資のビジネスモデルとしてはこんな感じでした。

  1. A社はマンションを都心に建てる
  2. A社はマンションをオーナーに売る
  3. オーナーは購入したマンションをA社に管理委託する
  4. A社はマンションの入居者の募集を含め、管理運営を行う
  5. A社は入居者から家賃集金を行い、A社の管理委託費を引いた分がオーナーに支払われる

図にするとこんな感じです。

A社のビジネスモデル

対象物件は東京近辺で駅から徒歩10分圏内、単身者をターゲットとした20m2〜25m2のものでした。

市場の傾向や人の流れから、東京には人が流入し続けており、単身者、特に女性の若者が今後も増加すると予想し、ターゲットにしたとのことでした。

投資物件情報

具体的なマンションの価格、家賃、手数料などは以下のような感じでした。
※頑張ってメモったんですがちょっと違ってるかもしれないです。

  • 物件価格:2650万円
  • ローン返済額:8.8万円/月 (35年ローン 金利2%)
  • 家賃:8.3万円 (家賃保証)
  • 委託管理費:6,500円
  • 修繕積立金:1,500円

ローンが払い終わるまでの35年間は-1.3 万円/月の赤字。35年後は7.5万/月の黒字。

30歳の人が購入する場合は、定年になるときには毎月7.5万円の収入が入りますという話でした。

委託管理費は家賃の8%で、業界的には安いほうですとのお話でした。

ただ、この金額以外にも、固定資産税などの支出があるとのことでした。

修繕積立金も年々高くなりますからね。

おすすめの投資方法

そして、最後におすすめしていたのは、以下のスキーム。

  1. 30歳で2戸購入する(物件A,物件Bとします)
  2. 物件Aは月3万円の繰り上げ返済を繰り返して、26年位で完済する。その間物件Bは物件Bの家賃収入で借金を返済する。
  3. 物件Aが完済したら、物件Aの家賃7.5万円+月3万円の繰り上げ返済で物件Bを4年で返済する。
  4. 60歳から毎月15万円の家賃収入が得られる!

繰り上げ返済の月3万円×30年=1080万円で2つの物件と月15万の不労収入が得られる!! と謳っていました。

あれ?月-1.3万の赤字はどこに行ったの?計算に入ってなくない?

考察

ここからはすべて私の主観&想像です。不動産投資は素人なので、間違っている事を書いているかもしれませんのであしからず・・。

新築建ててサブリースするビジネスモデルについて

セミナー前に描いていた不動産投資とちょっとイメージと違いました。

不動産投資は優良な中古物件を探して、その大家さんになって家賃収入を得るというイメージだったためです。

わざわざ不動産投資向けに新築を建てるというのがちょっと変わってるなというのが第一印象でした。

新品信仰が根強い日本では、誰かが買った(使った)瞬間に価値が 2〜3 割下がってしまうという現状を考えると、新築よりも中古物件の方が安く仕入れられるという意味で筋が良さそうな気がします。(素人考えですが)

また、基本的に儲け話は裏があるもので、儲かるならわざわざオーナーに売らずに自社で家賃収入を得ればよいはずです。

何かの本で、うまい話は、お金の流れを考えてみると良いと読んだことがあったので、「なぜA社はオーナーを集うのか?(A社のメリットは?)」「A社はどこで儲けるのだろう?」という目線で見てみます。

以下はデベロッパー目線ですので、デベロッパーのメリット/デメリットで書きます。

今回の新築で建ててオーナーに売却し、そのままサブリース契約した時の流れは以下になると思います。

  1. デベロッパーは銀行から借り入れてマンションを建てる
  2. デベロッパーはマンションをオーナーに売却する
  3. デベロッパーは売却した売り上げで借金を完済する
  4. デベロッパーはオーナーから不動産管理委託を受け、毎月手数料を受け取る

デベロッパーは 3. の時点で(おそらく)借金を完済し、売却益も得られます。

全ての部屋が売却できれば売却した時点でデベロッパーは金銭的にはノーリスクとなり、その後の金銭的リスクは全てオーナーに移る事となります。

デベロッパーにとって家賃保証はリスクではありますが、イザとなれば借り手が見つかるまで家賃を下げれば良い(手数料は減りますが、マイナスにはならない)ので、大きなリスクにはならないでしょう。

完済が早くできるのもメリットですね。マンションが建って売れてしまえば負債無しです。負債が無くなれば、すぐに次のマンションを建設できます。

また、ターゲットを単身者に絞っているのも絶妙で、20〜25m2という狭い単身者向けマンションは分譲では売れないので、通常は賃貸マンションとしてしか建てられなさそうですが、投資目的なら買い手がいるというところを狙ったのでしょう。

都心の駅近に広い土地があるとは思えず、ファミリー向けマンションには厳しい狭い土地でも、単身者向けの狭めの部屋であれば戸数が稼げて採算が取れるのだと思います。

通常の分譲よりも安くオーナーに売却している事(と言っていました)や、売却後の管理委託手数料を当てにする関係上、オーナー自身に住まれてしまうと困るので、そういう意味でも単身者向けはちょうど良いのだと思います。

セミナーでも「自分が住みたい部屋ではなく、需要がある部屋で選びましょう」といったことをしきりに言っていたのは、そういう理由なのかと妙に納得しました。

よく練られたビジネスモデルだなと感心してしまいました。

新築を建ててサブリース契約するビジネスモデルに関して、デベロッパー視点でメリット/デメリットをまとめると以下のような感じでしょうか

  • 全戸売却できればその時点で金銭的リスクがなくなる
  • 賃貸に比べ投資に対する回収のサイクルが早い
  • 狭い土地でも単身者向けなら建てられる(土地面積に対するパフォーマンスが良い)
    • 分譲では普通売れない単身者物件が投資目的なら売れる
  • オーナー自身に住まれると困る
  • 他の会社に委託されると困る

不動産投資は借金をして投資することから、何かの本に「自分はお金を持っていなくても他人のお金で投資ができる」といったことが書いてありましたが、まさに、オーナーのお金(借金)で賃貸経営するのがA社のビジネスモデルのようです。

ちょっと悪いように書いてしまいましたが、デベロッパーだけじゃなくてオーナーもWin-Winなら別にいいんです。

マンションなんて一般人に建てられるわけもなく、そのような不動産投資の商品を提供する以上は、デベロッパーがWinなのは大前提でしょう。問題はオーナーもWinなのか、カモなのかです。

リターンについて

投資に対するリターンなどを見てみましょう。

  • 物件価格:2650万円
  • ローン返済額:8.8万円/月 (35年ローン 金利2%)
  • 家賃:8.3万円 (家賃保証)
  • 委託管理費:6,500円
  • 修繕積立金:1,500円

ローンが払い終わるまでの35年間は-1.3 万円/月の赤字。35年後は7.5万/月の黒字。

セミナー講師の方は、「月々1.3万で1部屋買えてしまうんですよ! 」と安い事を主張していましたが、長期間キャッシュフローがマイナスというのはちょっと無理だなと思いました。

年齢を考えると完済の35年後は70歳後半。繰り上げ返済しないと老後のための投資のつもりが老後を苦しめる結果になってしまいます。

35年ローンで月々1.3万払って、35年後から7.3万/月の収入で全額を回収できるのは約41 年後。仮にローンを組まずに一括キャッシュで買ったとした場合でも回収には約30年かかる計算です。

実際は固定資産税が追加され、修繕積立金が上がり、将来家賃が下がっていくことを考えると、もっと利回りは下がり、回収する期間も伸びるでしょう。

んー。。41年間リスク背負ってようやくトントン。それからやっと3.4%のリターンってちょっと割に合わない気が・・・。

キャシュフローがマイナスだと、状況によっては撤退も考えないといけないのですが、不動産の売却には時間もコストもかかりそうです。

また、セミナー内容には少し引っかかる部分もあり、ちょっとカモろうとしているのかなぁという印象を受けました。

まとめ

A社の投資商品は以下のような感じだったため、今回は見送りました。

  • 35年間毎月赤字の投資はキツイ
  • 41年後に回収完了。そこからようやく3.4%のリターン
  • 撤退コストが高そう (これは印象)
  • ちょっと不誠実な印象 (これも印象)

初めての不動産投資セミナー(というより商品の売り込み)でしたが、素人にはやはりハードルが高いですね。

印象の部分もありますが、額も大きいですし、やはりちょっと不動産投資は怖いなぁと思いました。

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