AD00031のホワイトノイズをやっつける(その2)

ど素人が片足突っ込んでやけどした AD00031 ですが、どうせなら両足突っ込んで身の程を知ってみようと思います。

オーディオ(アナログ回路)系は憧れながらもほとんど手を出したことが無いので、勉強も兼ねてということで。

もう手軽に変えられる所は試したので、部品の交換とか派手にいじってみます。

と、その前に回路図がないといじりようが無いので基板から回路図を起こしてみました。黒いレジストは見た目は非常にカッコイイんですが、緑レジストと違いパターンを見えなくしてしまうので追うのに苦労しました。ハンダ付け後なので部品で隠れて見えない所はテスターで確認しました。

詳細を載せるのはまずいかもしれないので、ざっくりした回路としてはこんな感じでした。

AD00031の回路の概要AD00031の回路図の概要

オペアンプの出力に4つののトランジスタで構成された SEPP(Single Ended Push Pull) バッファがついていて、SEPP の出力を負帰還する形の構成になっていました。ここまでは普通のアンプのようです。

AD00031 ではさらに SEPP の出力に対し直列に電流測定用の抵抗がついていて、それを正帰還(?)しているようです。

私にはこの正帰還部分の動作がまだ理解できてません(^^; 雰囲気的には、OUTに流れる電流が小さいと測定用抵抗での電圧降下が下がる→OUT の電圧が上がる→正帰還されてアンプのゲインを上げる→流れる電流を増やすという感じでフィードバックされる・・・のかな?

抵抗を変えてみる

まず抵抗を変えてみます。抵抗にも音響用のものがあり、「抵抗 音質」などで検索すると色々なページが表示されます。

一般的な抵抗は巻線抵抗なので、ものによってコイル成分が変わり、確かに音に影響しそうな感じはします。

また、ホワイトノイズの原因は熱雑音であるらしく、熱雑音は抵抗などの部品から発生するとも書かれているサイトがありました。そういった意味では、抵抗を変えるとホワイトノイズの具合も変わるかもしれません。

変更するのは、回路図に出てくる抵抗と、SEPP 内にある2本の抵抗です。結果的に LED 点灯用の抵抗以外は全て置き換える形になります。

これを差し替えるわけですが、試行錯誤できるようにしたいと思ってこんな感じにしちゃいました。

抵抗をソケット化!!抵抗を全てソケット化!!!

地味に大変でした。はじめは IC ソケットを付けてしまえばいいじゃんと思っていましたが、微妙に抵抗の間隔が 2.54mm より広くてソケットが刺さらず、結局秋月で買った丸ピンICソケットを 1 つ 1 つ切り離してハンダ付けという気の遠くなる作業を行いました。

ただ、このおかげで回路を変更しやすくなったのでやってよかったです。

右側の抵抗は千石電商で買ったタクマンのオーディオ用金属皮膜抵抗 REY (青緑色のやつ)です。1kΩ だけ品切れだったのでオーディオ用カーボン抵抗 REX (1本だけピンク色のやつ) にしました。

素人が聞いても判別しやすいように、モノラル入力にして(下側のジャンパーみたいな抵抗でやってます)、右だけ REY/REX に置き換えて聞いてみました。

結果は・・・全くわかりません(泣)

イヤホンを左右入れ替えてみたり、シャッフルしてブラインドテストしても全く違いが分からず。私の耳には抵抗の違いを感じることができませんでした。

結果

  • 普通のカーボン抵抗と音響用抵抗の違いは分からなかった
  • 抵抗を変えてもホワイトノイズは減らなかった

 

SEPP部のコンデンサを変えてみる

続いて、オーディオ系で改造といえばまっ先に出てくるコンデンサです。

AD00031 では売り文句の通り、出力に直列にコンデンサが入っていません。コンデンサは電源ラインと SEPP のバイアス生成部に使われているだけです。なので、一般的な回路よりコンデンサによる音の変化は少ないかもしれません。

SEPP 部ではちょっと変わった使われ方をしています。素人なのでこういう回路は見たことがないのですが、よくあるのでしょうか。

SEPP部の回路図SEPP部の回路図

正直このコンデンサがどういう役割をしているのかわかりません。
電源投入直後のポップノイズ軽減・・・なのかな? 電源投入直後に後段のトランジスタを確実に OFF にするため・・・とか?

基本的には前段のトランジスタの VBE が変わらない限り、一定の電圧がかかっているだけなので信号の上下(音質の変化)には影響しないのではないかと思いますが、モノは試しです。

これも右側だけ先に交換して違いを聞いてみました。

SEPP部のコンデンサを FineGold に変更右側の SEPP 部のコンデンサを FineGold (金色のコンデンサ)に変更

使用したのはルビコンの Fine Gold です。金色のボディがカッコイイですね。
音響用のコンデンサとしては、とびきりいい訳ではないけど音響用としては安いのでコスパ的によい、という感じの位置づけのようです。

結果は・・・全く違いが分からず(苦笑)

やはりここのコンデンサはあまり音質に影響しないんですかねぇ。

結果

  • SEPP部のコンデンサの違いによる音の変化は感じられなかった
  • ホワイトノイズも変化なし

長くなってきたのでまた次回。

AD00031のホワイトノイズをやっつける(その2)” への4件のフィードバック

  1. はじめまして。
    私もAD00031の雑音に悩んでおり、拝見させていただきました。

    部品交換による音の変化なんて微々たるものですよね(笑)。「オーディオグレードパーツ」に固執する、回路を知らないオーディオマニアに教えてやりたいものです。
    さて、SEPP回路のコンデンサですが、これはベース電流を増やす(=エミッタ電流を増やす)効果があります。(音は悪くなりますが・・・)。バイアス抵抗をこれ以上小さくすると、SEPPの入力インピーダンスが低くなり、オペアンプに高負荷がかかります。ですから、電源電圧の低いアンプでは仕方なくコンデンサを入れます。とはいえ、このSEPP回路の出力はLTSpice上で30mA程度ですから、50mAくらいの高出力なオペアンプを使えばバッファは不必要ではないかと思います。

  2. 補足です。
    ベース電流が増えるのは、SEPPのベースにバイアス抵抗を経由した電源電流に、コンデンサを経由したオペアンプの出力電流が加わるからです。
    私もAD00031の回路を解析しました。しかし、これは帰還抵抗の定数が悪く、コンデンサを付けても30mA程度しか出力できません。いっその事、SEPP回路を取っ払って高出力オペアンプだけにするとか、トランジスタを定評ある2SA1015/2SC1815(max-Ic;150mA)に変えてみるのも面白いかもしれません。ブレッドボードで試行錯誤してから改造してみるといいですね。

    また、nabe先生の情報(低電圧ヘッドホンアンプv.3)ですが、コンデンサをオペアンプから開放すると、フルスイング化できるようです。SEPPに代わってダイヤモンドバッファが登場しますが、似たようなものです。

    1. Cascodeさん。はじめまして。
      返信が遅くなってすいません。
      なるほど、SEPP回路に付いているコンデンサはそういう意味だったんですね。
      交流成分がコンデンサを通って後段のベースに流れるということですね。なるほど・・・。

      nabeさんの低電圧ヘッドホンアンプv.3の記事も読みました。
      確かにコンデンサからオペアンプの出力を切り離せば同じような回路になりますね。
      AD00031では電池 4 本の電源なので、フルスイングさせなくても電圧的に余裕はありそうですが、今度試してみます。

      ・・・とここまで書いて気づいたんですが、今の回路のままでも同じ効果になりませんか?
      オペアンプの出力が強ければ(出力インピーダンスが低ければ?)、コンデンサのおかげで、後段のベースには常にオペアンプ出力+前段のVBEの電圧が加わっていそうな気がします。
      そういう意味では、このコンデンサの容量を増やすと音質向上するということでしょうかね? nabeさんのページではC3の容量を増やすほど向上すると書かれていましたので。

  3. >容量を増やすと音質向上するか?
    カップリングコンデンサですので、容量はなるべく大きくしたいですね。「OPアンプMUSESで作る高音質ヘッドホン・アンプ」という怪しいレシピ本でも同様の方式をとっていますが、33uF~100uFのOSコンを使っています。怪しいです。

    当方はブレッドボードにヘッドホン・アンプ(電圧増幅+SEPP回路)を作って、カップリングコンデンサの(330uF)有無を比較したことがあります。正直、このコンデンサを付け足して音が良くなった試しはないですね(笑)

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